はじめに|「ETF売却=暴落」は本当?
「ビットコインのETFが売られたら、価格って一気に下がるの?」
──SNSでもよく見かけるこんな声。実際、2025年に入ってから「ETF経由の資金流入」がBTC価格を大きく押し上げてきた。
だからこそ、
- ETFから資金が“抜ける”=暴落
- 機関投資家が逃げたら終わり
…みたいな不安を感じている人も多いと思う。
でも、それって本当にそうなの?
この記事では、ETFの仕組みや過去のフロー、株式ETFとの比較を踏まえながら、
「ETFが売られたらビットコインは暴落するのか?」という仮説を、データと事例で冷静に検証してみる。
初心者にもわかりやすいように図解も入れて、安心して読み進められるようにしたよ。
ETFと現物BTCのつながりを整理しよう
まずは、ETFとビットコインの関係をざっくり整理しよう。
◾ ETFって何?
ETF(上場投資信託)は、「中身に特定の資産を組み込んだパッケージ商品」で、証券口座で株みたいに売買できる金融商品。
BTCの現物ETF(たとえばBlackRockのIBITなど)は、
- 投資家がETFを買う
- 運営会社がその資金で“現物のビットコイン”を買う
- 保管は信託銀行やカストディ業者が行う
という流れになっている。

つまり、ETFに資金が入る=BTCの現物が買われる → 価格上昇圧力になる。
逆に、ETFが売られる=運営がBTCを売却する → 価格下落圧力にもなる。
ただし、ここで注意したいのは「すべてが即座に市場に影響するわけじゃない」ということ。
◾ 実際の売買は“即時”ではない
ETFの売買は株式市場内で行われていて、ETF同士の売買だけではBTCの現物は動かない。
BTCが動くのは、「作成・償還(新規発行・回収)」のプロセスに入ったとき。
つまり:
- ETF価格と実際のBTC価格にズレが出たときに、アービトラージ(裁定取引)を通じてBTCが売買される
このプロセスがあることで、現物市場とETF市場の“つながり”はあるけど、完全に連動しているわけではない。
次は、実際に過去に起きた「ETFからの資金流出」とビットコイン価格の関係を見ていこう。
過去データを検証|ETFの資金流出がBTCに与えた影響は?
ETFが売られたら本当にビットコインは下がるのか?
その疑問に答えるには、過去の実例をいくつか見てみるのが一番わかりやすい。
ここでは、2024〜2025年に起きた代表的なETFフローの動きと、ビットコイン価格への影響を3つのケースに分けて紹介するよ。
◾ 2024年1月|ETF承認直後のフローと価格変動
- 米SECが複数の現物BTC ETFを同時承認(IBIT、FBTCなど)
- 初週で数十億ドルの資金が流入
- BTC価格は約4万ドル → 一時48,000ドル台へ上昇
→ 明らかにETFの買いが直接価格を押し上げた例。
◾ 2024年3月|Grayscale(GBTC)からの資金流出
- GBTCはETF化された後も手数料が高く、多くの資金がIBITなど他ETFへ移動
- 1週間で5億ドル超の流出が報道される
- BTC価格は短期的に5〜8%下落
→ ETF“間”の乗り換えでも、売却を伴う場合は価格に影響を与えた。
◾ 2025年5月|ETF流入の加速と過去最高値の更新
- ブラックロックのIBITに1日で8.77億ドル超の資金流入(5月22日)
- 米国ETF全体では9.34億ドルの純流入を記録
- 同日にBTCは史上最高値11万1968ドルを記録
→ ETFフローが価格にポジティブなインパクトを与えた明確なケース。
◾ 暴落との関係は? “トリガーの一つ”ではある
上のように、ETFの資金流出がビットコイン価格に影響を与えるのは確か。
ただし、その影響は:
- 多くの場合で“数%〜10%程度”にとどまっている
- 他の要因(マクロ経済・規制・市場心理)が複合的に重なると大きく動く
という傾向がある。
つまり、「ETFが売られた=暴落確定」ではなく、相場全体のきっかけの一つになり得るというのが、実例から導ける現実的な答えなんだ。
このあと、株式ETFの動きと比較しながら、さらに視点を広げてみよう。
株式ETFとの比較|SPYやGLDはどうだった?
ビットコインETFだけでなく、株式市場でもETFは当たり前の存在になっている。
たとえば:
- S&P500連動ETF → SPY(スパイ)
- 金(ゴールド)連動ETF → GLD
この2つは、長年にわたって多くの投資家に利用されている代表例。
◾ SPY(株式)ETFの流出入と価格の関係
SPYはS&P500に連動するETFで、リーマンショック・コロナショックなど、
何度も「資金流出」が起きてきた。
でもそのたびに:
- 一時的に価格は下がるけど
- 数か月〜数年でしっかり回復
という“自浄作用”のある動き方をしてきた。
→ ETFの売買=市場の“反応”であって、“終わり”ではないということ。
◾ GLD(金ETF)の場合|BTCと比較される存在
金ETFであるGLDも、
- 世界的な危機時(戦争・通貨不安など)には資金流入
- リスクオン相場では流出する傾向
というサイクルがある。
それでも金の価格自体は長期的に上昇しており、
ETFの売買によって多少の上下はあるけれど、
資産としての信頼性や需要は揺らいでいない。
これは、「ビットコイン=デジタルゴールド」と言われるゆえんでもある。
ETFは投資家だけでなく、国家レベルでも“備蓄手段”として活用されつつあります。
戦略的ビットコイン準備金について詳しくはこちら
▶ アメリカがビットコインを“国家備蓄”にする理由|戦略的ビットコイン準備金とは?他国の動きも解説
よくある誤解|ETFだけが価格を動かすわけじゃない理由
ここまでETFとビットコインの関係をいろいろ見てきたけど、
実は「ETFの動きだけでビットコイン価格が決まる」と思ってる人も多い。
でも、それはちょっと極端すぎる見方かもしれない。
実際には、ビットコインの価格に影響を与える要素は他にもたくさんある。
◾ マクロ経済の影響
- CPI(インフレ指標)やFOMC(利上げ)などの経済指標発表
- ドル円の為替レート
- 株式市場全体のセンチメント
これらの要素がリスクオン・リスクオフの流れを作って、
ビットコインにも“連れ高・連れ安”を引き起こすことがある。
◾ 規制や政治リスク
- SECや各国政府による仮想通貨規制の強化 or 緩和
- 税制変更(例:日本の申告分離課税議論)
- 地政学的リスク(戦争・制裁など)
ETFの売買以上に、こうした“外的ショック”の方が価格への影響が大きいことも少なくない。
◾ 市場のポジション偏り(需給の歪み)
- ファンディングレートの異常
- ロング・ショートの偏り
- 強制ロスカットによるドミノ的売り
とくに2022年〜2023年には、ETFとは関係なく
「FTX破綻」や「テラ(LUNA)ショック」など、
内部要因で大きく下げたケースがたくさんある。
ETFの影響があるのは確か。
でも、それだけがビットコイン価格を決めているわけじゃない。
“ひとつの要素”として見る冷静さが大事なんだ。
FTXやUSTのように、ETFとは無関係な要因で起きた大暴落もある。
特にUST崩壊の仕組みは、初心者こそ一度チェックしておきたい
▶ ステーブルコインは崩壊するのか?USTの教訓とUSDT・USDCのリスクを初心者向けに解説
僕のスタンス|ETFは“価格を動かす装置”の一部にすぎない
ここまでいろんなデータや仕組みを見てきたけど、
結局のところ、ETFはビットコイン価格を動かす“装置のひとつ”にすぎないと僕は思ってる。
ETFが注目されてる理由もよくわかるし、実際に価格に影響を与える場面もある。
でも、それだけで全部が決まるわけじゃない。
だから、こんなふうに考えて投資してる:
- ETFが買われたら、上がる“可能性が高い”だけ
- ETFが売られても、それ単体で暴落するとは限らない
- 他のマクロ・需給・センチメントもちゃんと見ておく
そして一番大事なのは、「ひとつの材料に振り回されすぎないこと」。
たとえば、ETFが話題になってるからって焦って買ったり、
一時的な資金流出だけで全力売却したりするのは、あとで後悔するかもしれない。
僕自身は、長期目線で積立をベースにしてるから、
ETFのフローも“見ておく”程度にして、
判断材料のひとつとして扱うようにしてる。
ETFが価格を押し上げる可能性もあるけど、じゃあ2030年にはどこまで伸びるのか?
僕の価格予想とシナリオを詳しく書いたこちらも参考に
▶ ビットコイン2030年価格予想|強気・中立・弱気の3シナリオで徹底考察
まとめ|ETF売却=暴落ではない。その理由と備え方
ビットコインETFの売却が話題になるたびに、「これは暴落のサインかも…」と不安になる気持ち、すごくわかる。
でも実際に過去のデータを見てみると:
- ETFの売却=短期的な価格調整は起こりうる
- だけど、“暴落”とまではいかないケースが多い
- むしろ、ETFは長期的に価格を支える装置でもある
つまり、ETFは“リスク”というより“影響要因のひとつ”という位置づけで考えるべきものなんだ。
投資初心者ができる“備え方”
- ニュースやSNSに振り回されすぎない
- ETF関連の話題が出たときこそ、一歩引いて冷静に見るクセをつけよう。
- 積立投資で時間分散を意識する
- ETFの一時的な売りよりも、「長期でどう動くか」を重視。
- 複数の情報源で相場を判断する
- ETFフロー、マクロ経済、需給、センチメント…全部を見る習慣を。
- 余剰資金で無理なく投資を続ける
- どんな材料が出てもブレないスタンスが、結局いちばん強い。
ETFの売買は価格に影響を与えるけど、すべてを決めるわけじゃない。
だからこそ、僕らにできるのは“情報に強くなって、冷静に備える”ことだと思ってる。
この考察が、ETFのニュースに惑わされそうになったときの“よりどころ”になれば嬉しい。
ETFの価格変動だけでなく、取引所破綻リスクやハッキングにも備えるなら、
長期保有の人は【ハードウェアウォレット】の導入も検討してほしい。
安全にBTCを守るなら、僕はこれを使ってる
▶ 初心者におすすめ!Amazonで買えるハードウェアウォレット5選【実機レビュー付き】
ETFの動きに一喜一憂するより、コツコツ積み立てて“時間を味方につける”のが僕の戦略。
僕も使ってるコインチェックなら、ビットコインの毎日積立がスマホで簡単に始められるよ。
▶ 【初心者向け】コインチェックの始め方|口座開設から購入までやさしく解説
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