はじめに|「量子コンピュータでビットコイン終了?」という不安、僕も感じた
ビットコインを持ってる人なら、一度は耳にしたことがあるかもしれない──
「量子コンピュータが実用化されたら、ビットコインの暗号が破られるらしいよ」
これ、僕も最初に聞いたときは正直びびった。
「え、それ本当?」「自分のビットコイン、盗まれるってこと…?」って。
仮想通貨って、ブロックチェーンで守られてるから安全なんじゃないの?
そんなふうに思ってたけど、“その安全を支えてる暗号技術”が量子コンピュータには通用しないかもしれない──そう聞いたら、やっぱり不安になる。
しかも最近は、GoogleやIBMが「量子コンピュータ開発で大きな進展」とか「2030年には実用化もありえる」とか、どんどん現実味を帯びた話になってきてる。
でも、慌てる前に知っておこう
まず先に、ざっくり結論から言うと…
- 2025年時点で、ビットコインが量子コンピュータに破られる心配はまだない
- だけど、2030年代にはリスクが出てくる可能性が高い
- だからこそ、開発者たちはすでに対策を検討中
- 僕たちユーザーも、“今からできる備え”がある
つまり、「怖いけど、終わりじゃない」ってこと。
この記事でわかること
この長めの記事では、量子コンピュータと仮想通貨(特にビットコイン)の関係について、こんな疑問に答えていくよ
- 量子コンピュータってそもそも何?なぜそんなにヤバいの?
- ビットコインの「どの部分」が破られるの?
- 具体的にいつ頃、その脅威が現実化する?
- 開発者はどんな対策をしてる?実際に使えるの?
- 投資してる自分たちは、どう備えたらいいの?
ネットで出回ってる“噂レベルの情報”じゃなくて、2025年時点での信頼できる最新情報をもとに、初心者でもわかるようにやさしく解説していく。
こんな人に読んでほしい
- ビットコインを長期で保有してる人
- これから仮想通貨に投資しようとしてる人
- 「量子コンピュータって結局どうなの?」と気になってる人
- セキュリティやテクノロジーの裏側にちょっと興味ある人
ちなみに僕自身は、別に理系とかプログラマーとかじゃなくて、
ただの会社員(しかも工場勤務)で、
ビットコインは“サイドFIRE”を目指してコツコツ買ってるタイプ。
だからこの話も、昔の自分に「ちょっと未来の話をわかりやすく教えてやるよ」って感じで書いてる。
難しそうに見えるかもしれないけど、できるだけ噛み砕いて、かつ嘘はつかずにまとめていくから、安心して読んでみて。
さあ次は、「そもそも量子コンピュータって何?」ってとこから、一緒に見ていこう。
第1章|量子コンピュータって何?仮想通貨と何が関係あるの?
僕が最初に「量子コンピュータ」って言葉を聞いたのは、たしかビットコインが上がり始めた頃。
SNSで「量子コンピュータが実用化されたらビットコイン終わるぞ」って言われてて、「なんやそれ…」って思ったのを覚えてる。
で、実際に調べてみたら──思ったよりやばい。
でも、今すぐどうこうじゃなくて、“これからの時代にちゃんと知っておいた方がいい技術”だった。
この章では、「量子コンピュータってそもそも何?」ってとこから、
なぜ仮想通貨にとって脅威になるのか、そしていつごろ本格化しそうなのかまで、
がっつりわかりやすく話していくよ。
1-1. 普通のコンピュータと何が違うの?
まず、今僕らが使ってるパソコンやスマホって、「0か1か」で動いてるコンピュータ。
この0か1の信号の組み合わせで、文字も画像も動画も表現できるっていう仕組みになってる。
これを「ビット(bit)」って呼ぶんだけど、
量子コンピュータはちょっと違ってて、「量子ビット(qubit)」ってものを使う。
量子ビットは、0か1かじゃなくて、0と1が同時に存在してる状態を持てるんよ。
これ、めちゃくちゃ不思議だけど、「重ね合わせ(superposition)」っていう量子の特徴なんだ。
さらに「エンタングルメント(量子もつれ)」っていう性質を使うと、
複数の量子ビットがお互いに影響しあいながら並列計算ができるようになる。
結果的にどうなるかというと、
「一気にめっちゃたくさんの計算を同時にやってしまえる」
っていう、とんでもない性能になる。
それが、暗号を解読したり、AI学習を高速化したり、天気予測や医療研究にも使われようとしてる理由なんよね。
1-2. なんで“暗号を壊せるほどすごい”って言われてるの?
ここが仮想通貨に関わってくる話。
ビットコインをはじめ、ほとんどの仮想通貨は「暗号技術」で安全が保たれてる。
その中心が、ECDSA(楕円曲線暗号)とSHA-256(ハッシュ関数)。
それぞれに対して、量子コンピュータにはヤバいアルゴリズムがある
対象技術 | 通常の安全性 | 量子コンピュータで使われる攻撃法 |
---|---|---|
ECDSA(署名) | 公開鍵から秘密鍵を逆算できない | ショアのアルゴリズムで一発アウト |
SHA-256(ハッシュ) | 総当たりでしか解けない | グローバーのアルゴリズムで探索が高速化 |
ショアのアルゴリズム(Shor’s Algorithm)
これは、RSAやECDSAみたいな「公開鍵暗号」に対してめちゃくちゃ強い。
これまで「解くのに何億年もかかる」とされてた暗号を、理論上は“数分〜数時間”で解いてしまえる。
つまり、ビットコインの秘密鍵が、強力な量子コンピュータで割り出される可能性があるってこと。
グローバーのアルゴリズム(Grover’s Algorithm)
こっちは、ハッシュ関数みたいな暗号に対して使われる。
SHA-256自体は破られるわけじゃないけど、“探索効率が2倍になる”って言われてる。
結果的に、SHA-256の強度(256ビット)が理論上は128ビットにまで落ちることになる。
1-3. 実用化っていつ頃?本当に来るの?
ここが気になるところだと思う。
結論から言うと、今すぐビットコインが壊されるような量子コンピュータは存在しない。
でも、2030年前後には「可能性が出てくる」って言われてる。
Googleの発表(2025年2月)
Googleは、2024年末に105量子ビットの新チップ「Willow」を発表。
しかも、量子エラー訂正にも進展があって、「10澗(かん)年かかる計算を5分で解いた」って報告されてる(参考:The Quantum Insider)。
Google Quantum AIの責任者は「5〜10年以内に商用量子コンピュータが登場する可能性がある」って言ってる。
IBMのロードマップ
IBMは、2025年までに4,000量子ビット超えのシステムを開発する計画を発表してる。
すでに1,121ビットのチップ「Condor」を実現済み。
→ ただし、ビットコインのECDSAを壊すには「論理量子ビット」が数千以上必要って言われてる。
→ 実際には、物理量子ビットだと数百万ビットレベルが必要とも。
実用化タイムライン(ざっくり)
年 | 見通し |
---|---|
~2025年 | 基礎技術・エラー訂正の実験段階(今ここ) |
2025~2030年 | 小規模な商用量子計算が可能に? |
2030年代前半 | 仮想通貨にとって現実的な脅威が出始める可能性あり |
2040年代以降 | フルスケールの“暗号破壊”レベルに到達の可能性 |
じゃあ今すぐビットコイン売るべき?
答えは「NO」。
でも、「このまま暗号が一生安全」って思ってると危ない。
量子コンピュータは現実になりつつあるし、それに備えた動きも始まってる。
だからこそ、この記事で次に見ていくように、
- どこが破られる?
- どんな対策がある?
- ビットコインはどう動いてる?
を知っておくのが大事なんよ。
というわけで、次は「ビットコインの暗号ってどこがどう危ないの?」っていう話に進んでいこう。
第2章|ビットコインの暗号、どこが破られるの?
「量子コンピュータでビットコインが危ない」って話、
よく聞くけど──具体的に“どこがどう壊れるのか”って知ってる?
ここでは、「ビットコインのセキュリティを支えてる2つの技術」から、
その中で量子コンピュータにとって弱点になりやすい部分を、ちゃんと整理して話していくね。
2-1. ビットコインの暗号は「2段構え」
ビットコインって、表向きは「匿名で安全な通貨」ってイメージだけど、
実際にはめちゃくちゃ高度な暗号技術の上に成り立ってる。
ざっくり言うと、2段階のロックがかかってる。
セキュリティ構造 | 技術名 | 役割 |
---|---|---|
第1の鍵 | SHA-256(ハッシュ関数) | アドレスやブロックの識別・不正改ざんの防止 |
第2の鍵 | ECDSA(楕円曲線デジタル署名アルゴリズム) | ビットコインの「所有権」を証明・送金に必要 |
この2つがセットになって初めて、「ビットコインは安全」と言えるんよ。
でも──量子コンピュータにとって本当に危ないのは第2の鍵、
つまりECDSA(デジタル署名)の方。
2-2. なぜECDSAが狙われるのか?
ECDSA(楕円曲線署名)は、「公開鍵が分かっても、秘密鍵は分からない」って前提で動いてる。
この非対称性がビットコインの“心臓部”とも言える。
けど、量子コンピュータが登場すると話が変わる。
さっきも出てきた「ショアのアルゴリズム」が、この前提をぶっ壊す。
ショアのアルゴリズムとは?
量子コンピュータにしかできない超強力な素因数分解アルゴリズム。
RSAやECDSAのような「数学的な難しさで守られてる暗号」を効率的に逆算できる。
つまり、公開鍵 → 秘密鍵の逆変換が、従来のコンピュータでは不可能だったのに、量子コンピュータなら短時間で実行できるようになるということ。
これがどういう意味かというと…
- 一度でも使われたアドレスは、公開鍵がブロックチェーンに記録されている
- それを量子コンピュータが拾い上げれば、秘密鍵を“計算”してしまえる
- 結果として、そのビットコインを持ち主以外が勝手に動かすことが可能になる
つまり、ECDSAで守られている「送金権限そのもの」が奪われるリスクがあるって話なんよ。
2-3. 実際に“狙われやすいアドレス”ってどこ?
ここ、めっちゃ重要。
「じゃあ、ビットコイン持ってたら全部ヤバいの?」って思うかもしれないけど、
実は、すべてのアドレスがすぐ危ないわけじゃない。
特にヤバいのは以下の条件:
狙われやすいアドレスの条件
条件 | 説明 |
---|---|
公開鍵がブロックチェーン上にすでに表示されている | 送金したことがあるアドレス |
マルチシグや古い形式(P2PK)のアドレス | 公開鍵が表に出る設計 |
“休眠アドレス”で大量のBTCが動かないまま放置 | 有名アドレス(例:サトシのアドレス)も |
つまり、「まだ1回も使ってないアドレス」=比較的安全。
ビットコインでは、アドレスが使われるまでハッシュ化された公開鍵しか表示されないから、
量子攻撃に対して時間的な猶予があるんよ。
でも、一度でも送金に使ったら公開鍵が晒される。
そしてそこから、「あ、これ秘密鍵割れそうじゃね?」って狙われる対象になる。
2-4. 何BTCぐらいが“量子攻撃の的”になり得る?
実はこれ、研究がいくつかあって、量子コンピュータの進化速度にもよるけど、
- P2PK(初期の形式)アドレス:約150万BTCが眠っている
- すでに使われたP2PKH/P2WPKHアドレス:約200万BTC以上
って言われてる。
つまり、合計で約350万BTC(市場の約15%)が将来的に「量子リスクの可能性がある」とされてる。
まとめ:今すぐ盗まれるわけじゃない、けど…
- 今の量子コンピュータの性能では、まだ秘密鍵を割るのは現実的じゃない
- けど、「使われたアドレス=公開鍵が表に出た」ものから順に、将来的に危なくなる
- 特に昔の形式(P2PK)や大口保有アドレスは、すでに“見張られてる”とも言われてる
じゃあ、ビットコイン開発者はこの状況にどう備えてるのか?
→ 次の章で「ポスト量子暗号」と「BTCの対応策」を詳しく見ていこう。
第3章|ポスト量子暗号って何?ビットコインは守れるのか?
「量子コンピュータが今の暗号を壊すなら、別の暗号にすればいいじゃん」──
そう思った人、正解。
実はすでに、量子コンピュータでも壊せない新しい暗号技術が研究されてる。
それがいわゆるポスト量子暗号(Post-Quantum Cryptography/PQC)。
この章では、「ポスト量子暗号ってどんなもの?」から、
それがビットコインにも使えるのか、どう移行していくべきかを一緒に見ていこう。
3-1. ポスト量子暗号(PQC)ってなに?
ポスト量子暗号は、“量子コンピュータでも破れない暗号”を目指した新世代の暗号方式。
特徴としては、
- ショアのアルゴリズムやグローバーのアルゴリズムでも解読できない構造
- 多くは格子(Lattice)ベースやハッシュベースなど、新しい数学的難問を利用
- 普通のPCやスマホでも使える設計(←これ重要)
つまり、「量子コンピュータにも強いのに、今の世界にも対応できる」ことが前提になってる。
3-2. NISTが標準化を進めてる
アメリカのNIST(国立標準技術研究所)は、2016年からポスト量子暗号の国際標準化プロジェクトを進めてる。
そして2022年7月、ついに最終候補アルゴリズムを発表した。
採用された暗号(2022年発表)
用途 | 採用アルゴリズム | 特徴 |
---|---|---|
鍵交換・暗号化 | CRYSTALS-Kyber | 格子ベース、超高速・軽量・小さい鍵サイズ |
デジタル署名 | CRYSTALS-Dilithium FALCON SPHINCS+ | 安全性と速度のバランスが良い FALCONは特にサイズが小さく高速 |
CRYSTALS-KyberとDilithiumが「本命」とされていて、
特にKyberはGoogle Chromeでの試験運用にも使われてる。
→ ビットコインで採用されてるECDSAの代替としても、DilithiumやFALCONが有力候補とされてる。
3-3. 実際に仮想通貨で使われている例は?
QRL(Quantum Resistant Ledger)
「量子耐性」をウリにした仮想通貨。
最初から量子攻撃に耐えられる“XMSS(ハッシュベース署名)”を採用している。
ただし、QRLはあくまで“最初からPQC前提で作られたチェーン”。
ビットコインのような巨大ネットワークで「後から切り替える」のとは話が違う。
もちろん、まだ知名度も時価総額も小さいし、「投資としてどうか?」ってのは別の話。
ただ、こういう“最初から備えた仮想通貨”があることで、「ビットコインが変わるか/それとも新しい通貨にバトンが渡るか」っていう未来の可能性を考えるきっかけにはなる。
詳しくは別記事でまとめる予定(更新したらリンク貼ります!)
3-4. ビットコインは“簡単に切り替えられない”
じゃあ、「ビットコインもDilithiumとかにすればOKじゃん」ってなるけど──
そんな簡単にはいかない理由がある。
理由①:ビットコインの仕様はめちゃくちゃ保守的
- セキュリティ最優先
- 世界中にノードやウォレットがある
- アップデートにはBIP(Bitcoin Improvement Proposal)+合意形成+実装+周知が必要
たとえば、SegWit(2017年)やTaproot(2021年)といった過去のアップグレードも、
数年単位で議論→実装→普及が進んだ感じ。
だからPQC導入も、「いつか必要になるけど、簡単にはできない」が正直なところ。
理由②:量子耐性署名は、まだ“重すぎる”
たとえばNISTが採用したCRYSTALS-DilithiumやFALCONっていう署名方式は、
量子には強いけど…
- 秘密鍵・公開鍵がめちゃくちゃデカい
- 署名サイズも大きくて、ブロック容量を圧迫する
- スマホウォレットとかだと負荷が高くて動作が重くなる可能性もある
つまり、「全世界のノードやウォレットで無理なく使える」状態にはまだ達してないんよね。
理由③:新しい暗号に、100%の信頼を置けない
今のECDSAやSHA-256は、何十年も実戦で使われてきた“戦歴のある暗号”。
でも、ポスト量子暗号はまだ歴史が浅くて、
- これから新しい攻撃手法が発見されるかもしれない
- 実は設計に脆弱性があった、ってことがあとから発覚するかもしれない
っていう不安要素がある。
つまり、「新しい暗号にすぐ飛びつく」ことで、逆にビットコインの安全性を損なうリスクもあるってこと。
結論:「いつか切り替える」けど、それは“めちゃくちゃ慎重に”やるしかない
- PQCは未来の鍵になるかもしれないけど、今すぐ全体に導入できるレベルではない
- 技術的にも、社会的にも、“移行”には時間がかかる
だからこそ、まずはBIPとしての提案→テスト→小規模実装といった段階を踏んで、
少しずつ“備えていく”のが現実的なんよ。
3-5. 実際に出ている提案(BIP)
量子コンピュータに備えるための技術提案も、すでにビットコイン開発者からいくつか出てる。
たとえば:
- BIP324(通信暗号化の更新)
- BIP340(TaprootとSchnorr署名)
- BIPXXXX(量子耐性署名の導入案) ←まだ議論段階
さらに、「デュアル署名方式」みたいに、
ECDSA + PQC署名を両方使って、古い環境と新しい環境どっちにも対応しよう
っていう提案も出てる。
でもこれも、
- 鍵サイズが大きくなる
- 計算負荷が増える
- 対応ウォレットが必要になる
など課題も多くて、本格導入には時間がかかりそうっていうのが現状。
結論:「ポスト量子暗号は用意されつつある。でも、移行は超慎重に」
- NISTが標準化を進めていて、候補も決定済み(Kyber, Dilithiumなど)
- 一部の仮想通貨はすでにPQCを使っている
- でも、ビットコインみたいな既存チェーンでは慎重な議論とハードフォークも視野に入る
次の章では、
「じゃあ、量子コンピュータが本格化したらビットコインはどうなるの?」
という未来のシナリオを見ていこう。
第4章:ビットコインは量子攻撃にどう備える?
ここまで読んでくれた人は、こう思ってるかもしれない。
「じゃあさ、ビットコインって結局、量子コンピュータが来たら終わりなん?」
──答えは、今のままなら“リスクあり”だけど、“備え方はある”って感じ。
この章では、実際にビットコインの開発者たちがどう考えていて、どうやって備えようとしてるのかを見ていく。
4-1. ソフトフォークとハードフォークの選択肢
まず、量子コンピュータに対抗するには「新しい署名アルゴリズム」を導入しなきゃいけない。
その方法は大きく2つ。
- ソフトフォーク(互換性を保ったままアップグレード)
- ハードフォーク(完全に新しい仕様に変更)
たとえば、Taprootの導入(2021年)はソフトフォークだった。だから今のままでも、ある程度“新しい署名方式”を試すことは可能。
ただし、量子耐性のある署名方式はサイズが大きく、処理も重くなる。 つまり、“いきなり全部を切り替える”のは難しい。
このため、将来的には「旧形式のアドレスを無効化するようなハードフォーク」も視野に入れて、議論が始まってる。
4-2. BIP提案と開発者の見解
実際、2024〜2025年にかけて「量子耐性を持つ署名アルゴリズムの導入」に関するBIP(Bitcoin Improvement Proposal)が複数出ている。
たとえば、以下のような提案がある:
- BIP-XXXX:ポスト量子署名の導入(具体案は検討中)
- BIP-Quantum-Watch:量子コンピュータの進展をモニタリングして段階的対応を図る案
まだ正式に承認されたものはないけど、「備えるなら今のうち」っていう空気感は強くなってきている。
多くのコア開発者は「今すぐ切り替えるのは現実的じゃない。でも、実験環境やテストネットでの実装は進めるべき」としてる。
実際、2024〜2025年にかけて、量子耐性を持つ署名アルゴリズムの導入に関するBIP(Bitcoin Improvement Proposal)が複数提案されています。特に注目すべきは、アグスティン・クルス氏による「Quantum-Resistant Address Migration Protocol(QRAMP)」です。この提案では、旧形式のアドレスからポスト量子暗号に対応した新しいアドレスへの資金移動を促進し、一定の期限後には旧アドレスからの取引を無効化することが検討されています。これにより、将来的な量子コンピュータによる攻撃からビットコインネットワークを保護することを目的としています。参考 TronWeekly
4-3. タイムリミットと移行シナリオ
じゃあ「いつまでに何をやらないと危ないの?」って話。
これは量子コンピュータの進化速度によって変わるけど、 多くの研究者が「2030年代前半がリミット」って見てる。
その理由は、NISTの標準化やGoogle・IBMの技術発表が、
- 「2029〜2033年ごろに誤り耐性量子コンピュータが実用段階に入る」
と予想してるから。
となると、
- 2025〜2027年:BIP提出&テスト実装
- 2028年以降:段階的導入/ユーザーの移行促進
みたいな流れで、“今のうちに仕込む”のが現実的。
補足:ユーザーが「旧形式のアドレス」から「量子耐性アドレス」にBTCを移動させるだけでも、セキュリティリスクは大きく減る。
4-4. 僕たちができる“先回りの備え”
ユーザーとしては、開発者の対応を待つだけじゃなくて、自分でリスクを減らすこともできる。
今からできる量子リスク対策
- 未使用のアドレスを使い続ける(公開鍵を出さない)
- 送金を一度もしてないアドレスは、まだ“安全圏”にいる
- Taproot対応のウォレットに切り替える
- 公開鍵がブロックチェーンに露出しにくい仕組み(≒量子攻撃に強い)
- 量子耐性仮想通貨への一部分散も検討(例:QRLなど)
- ビットコインの開発動向を追う(BIP・ハードフォーク情報)
まとめ:BTCは“壊れる前に守れる”
- 今すぐに「量子でBTCが盗まれる!」わけじゃない
- でも、実用化が視野に入った今、備えは必要なフェーズ
- ビットコインの開発チームも「段階的な対策」を進めている
そしてユーザーにも「やれること」はちゃんとある。
“気づいた人から守れる”──それが量子リスク時代の鉄則。
次は第5章「ビットコインと量子コンピュータの未来」に進んでいこう。
第5章:ビットコインと量子コンピュータの“未来”をどう考えるか
ここまで読んでくれて、「結局、ビットコインってどうなん?」って思ってるかもしれない。
たしかに、量子コンピュータが本格的に動き出したら、ビットコインを支えてる暗号技術(ECDSA)は今のままだと破られる可能性がある。
だけど、それは「今すぐに壊れる」という話ではない。
現実的なタイムライン:猶予は“あと10年”くらい?
いま、GoogleやIBMが開発を進めている量子コンピュータは、
本当に危険な“誤り耐性型”ができるのは2030年前後と見られている。
つまり、まだ時間はある。
そしてその間に、ビットコイン開発陣も、僕たちユーザーも、できることはちゃんとある。
対策はすでに始まっている
- 開発者はBIPを通して「ポスト量子署名」の導入を模索している
- 移行に必要な技術的・社会的な準備も少しずつ進んでいる
- ユーザーも“旧式アドレス”からの引っ越しなどで自衛できる
ビットコインは「完全な完成品」ではなく、
常にアップデートされ続けてきた“進化するお金”なんだ。
結論:気づいて動いた人から“守られる”
量子コンピュータがどこまで進化するかは、正直まだ不確実な部分もある。
でも、ひとつだけ確かなのは、何も知らないままだと“守る準備”もできないってこと。
だからこそ、この記事をここまで読んでくれたあなたは、
すでに多くの人より“一歩先を行ってる”。
ビットコインは終わるか?
──僕はそうは思わない。
むしろ、リスクを知って、乗り越えていくプロセスこそが「信頼の証」になる。
まとめ|量子コンピュータとビットコインの“これから”
量子コンピュータの進化で、ビットコインの暗号が「破られるかもしれない」って話は、確かに現実味を帯びてきてる。
でも今のところは、すぐに心配する必要はない。実用化にはまだ時間がかかるし、ビットコイン側でもしっかり議論と対策が進んでる。
要点をざっくり振り返ると…
- 量子コンピュータは、RSAやECDSAといった“昔ながらの暗号”に強い攻撃手段を持ってる
- ビットコインはECDSAを使ってるから、特定の条件下ではリスクになる
- ただし「すぐに全部破られる」わけじゃないし、量子対策の標準化も進行中
- 実際にBIP(ビットコイン改善提案)でも量子耐性のある署名方式への移行が検討されている
- 「眠ってるBTC」や「使い終わったアドレス」が一部リスクになり得るから、意識だけはしておこう
今すぐ行動が必要ってわけじゃないけど、「ビットコイン=永久に安全」ってわけでもない。
だからこそ、こういう未来の技術に対して「正しく知っておく」ことが、持ち続ける上での安心材料になる。
最後にひとこと
「量子コンピュータは脅威。でも、未来を変えるのは“僕たちの選択”。」
そんな時代に、ビットコインをどう付き合っていくか。
今回の記事が、そのヒントになれば嬉しい。
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