はじめに|アメリカ発、ステーブルコインの新ルール?
2025年、アメリカで暗号資産界を大きく揺らす法案が登場しました。
その名も「GENIUS法案」。正式名称は、
Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act of 2025。
ちょっと長いですが、簡単に言えばこれは、
米国内でステーブルコイン(USDTやUSDCのような、ドル連動の暗号資産)をどう扱うかを決める法案です。
でもこの法案、単なる「規制」だけじゃないんです。
実は、トランプ大統領に近いとされる企業が、法案と同時期に独自のステーブルコイン(USD1)を準備していたことがわかり、
一部では「これって政治と経済の癒着じゃ?」という疑念も噴出しています。
しかも、この法案が通れば「Circle(USDC)やTether(USDT)にとっては不利」「新しいプレイヤーに有利な条件」と見られる部分も多く、
業界内では賛否両論。暗号資産の未来を左右しかねない法案として注目を集めているんです。
このブログでは、そんなGENIUS法案について、
その中身・背景・利権構造・賛否両論をわかりやすく整理していきます。
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▶ Coincheck公式サイトを見る1章|GENIUS法案って何?ステーブルコインの未来を変えるかもしれない新ルール
最近アメリカで、「GENIUS法案(ジーニアスほうあん)」っていう聞き慣れない法律が提出されたんだけど、
これ、仮想通貨やステーブルコインに投資してる人にとっては、けっこう大きな話なんだ。
正式には「Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act of 2025」っていう長い名前。
直訳すると「アメリカのステーブルコインに関する国家的なイノベーションを導く法案」って感じかな。
ざっくり言うと、「ちゃんと裏付けがある、信頼できるステーブルコインしか使わせないよ」っていうアメリカ政府の姿勢を示した法律案なんだ。
そもそも、なんでこんな法律が必要なの?
ステーブルコインって、たとえばUSDT(テザー)とかUSDC(サークル)みたいに、
「1コイン=1ドル」の価値を維持することを目指してる暗号資産なんだけど…
正直なところ、「ほんとにその1ドル、あるの?」って疑問、ずっとあるよね。
過去には、テザー社が「裏付け資産が100%じゃなかった」って問題になったこともあるし、
2022年にはTerraUSD(UST)っていう別のステーブルコインが大暴落して、
たった数日で1ドル→数円まで落ちて、投資家が何兆円も吹き飛ばされた事件もあった。
アメリカとしてはさ、「ドルと同じ価値です」って名乗ってるコインが信用を失ったら、
ドルそのものの信頼まで傷つくじゃん?
だから、「それなら最初からちゃんと国家がルール作ろう」って動きになったわけ。
GENIUS法案で決まること(ざっくり表)
ちょっと堅いけど、ポイントは以下の通り
内容 | 意味 |
---|---|
対象 | 「支払い用のステーブルコイン」だけ(USDTやUSDCなど) |
発行には登録が必要 | OCCや州の許可なしでは発行できない |
100%ドル建て準備金が必須 | キャッシュか短期米国債などで裏付ける |
保管先は信託機関 | 自社で資産を抱え込むのは禁止 |
監査も義務 | 定期的に資産状況を公開 |
海外業者も対象 | アメリカ国内で使うなら、信託口座で保管しなきゃダメ |
危険機能の禁止 | 自動ミントとか、自動引き出しとかはNGになるかも |
違反したら | 財務省やFRBが罰則・停止命令を出せるように |
要するに、「銀行みたいに厳しくするよ」っていう感じ。
誰に有利で、誰に不利なの?
正直、この法案を見て「うわ、これ狙い撃ちじゃん…」って思った人も多いと思う。
なぜかっていうと、トランプ大統領と近い企業が得をする内容になってるから。
たとえば
- Circle(USDC):アメリカ企業で、ある程度の透明性もある → 比較的OK
- Tether(USDT):海外企業で、準備金の中身がずっと疑問視されてる → ピンチ
- TruMint(USD1):新興のステーブルコインで、GENIUS法案のルールにドンピシャ対応 → 超追い風
このUSD1ってやつ、実はトランプ陣営の関係者とつながりがあるって言われてて、
GENIUS法案が通ったら「合法ステーブルコイン」として一気に注目される可能性もあるんだよね。
これって、ドルの“再コントロール”なのかも
GENIUS法案って、一見「ステーブルコインの安全性を守るため」っていう話だけど、
深読みすると、アメリカが民間の“ドルっぽいもの”を管理下に戻そうとしてるとも言える。
つまり、
「ドルと名乗るなら、ちゃんと国のルールに従ってくれ」
っていう話。
これって、CBDC(中央銀行デジタル通貨)にもつながってくると思う。
もし民間のステーブルコインが全部アメリカ政府の監視下に入ったら、
「そのうち“公式なドルのデジタル版”も出すからね」って流れにもなりかねない。
まとめ|GENIUS法案の意味は?
- 信頼あるステーブルコインだけを生き残らせる
- 海外発行の“怪しいドルもどき”は排除されるかも
- トランプ陣営の関係者に有利なルール設計
- 民間通貨の管理を国家が取り戻しにきてる感じ
この先、法案が正式に通ったら、USDTみたいなグレーな存在が淘汰されていく可能性もあるし、
逆に「ちゃんと管理されてるUSDC」や「USD1」みたいな新興コインが伸びてくるかもしれない。
まだ確定じゃないけど、
“ドルの時代”の次にくるものは、政府が選んだステーブルコインなのかもしれない。
2章|得するのは誰?トランプ陣営と“USD1”の正体
GENIUS法案って、一見「健全なステーブルコインを育てたい」っていう建前だけど、
中身をよく見ると、「得する人がめっちゃ明確」なんだよね。
その代表格がTruMint(トゥルーミント)って会社と、そこが発行するUSD1(ユーエスディーワン)っていう新しいステーブルコイン。
USD1ってどんなコイン?
USD1は、2025年に新たに登場したアメリカ拠点のステーブルコインで、
GENIUS法案のルールにドンピシャで対応してるのがポイント。
たとえば:
- 裏付け資産は100%ドル現金 or 米国債で保管
- 信託口座で管理されていて、企業の資産と混ぜない
- 発行元はアメリカ国内の金融機関と提携
- 自動ミント・自動償還といった“危険機能”を排除
- 定期的な監査報告も義務化
つまり、「GENIUS法案が要求してること」を最初からすべてクリアしてる。
しかも、その立ち上げメンバーや支援してる企業がトランプ陣営と深くつながっているというのが、今話題になってる理由なんだ。
TruMintってどんな会社?
TruMintは、元ゴールドマン・サックスの幹部や、共和党に近いロビイストたちが関わってる企業で、
金融業界と政治の両方にパイプを持ってるんだよね。
中でも注目なのが:
- 元SEC(米証券取引委員会)の幹部が顧問についている
- トランプ大統領に近い実業家たちが出資している
- 規制に完全準拠することを“売り”にしている
で、「GENIUS法案がこのコインに合わせて作られたんじゃないか?」って言われるほど、設計がマッチしてる。
なぜ「トランプとUSD1」は注目されてるの?
実は2024年末の大統領選で再びホワイトハウスに戻ってきたトランプ大統領。
その政権下でいきなりこのGENIUS法案が提出されたわけだけど、
その内容が“USD1だけが有利になるように見える”ってことで疑念が集まってる。
たとえば:
- 他のコイン(USDT・USDC)を実質的に排除しかねない設計
- USD1にだけ有利な条件(特定の信託管理・システム制限など)
- ロビー団体が法案提出を後押ししていたとの報道も
しかも、この動きに合わせてUSD1のプロモーションが急加速。
大手取引所への上場交渉や、政府系機関との提携アナウンスも続いてる。
USDT・USDCにとっては逆風?
この法案で特に厳しい立場になるのが、テザー(USDT)とサークル(USDC)。
- USDT(Tether):発行元が海外拠点。準備金の透明性が不十分と批判され続けてきた。GENIUS法案では「信用できない通貨」扱いになりかねない。
- USDC(Circle):アメリカ拠点だけど、Coinbaseとの関係や、政権との距離がやや遠い。今回の法案には「政治的な不公平さ」を訴えている
つまり、「国がステーブルコイン市場を再編しようとしてる」って見方もできるんだ。
裏では“米ドル支配”の再構築が?
GENIUS法案の背景には、「ドルの信用を取り戻す」っていう国家戦略もある。
近年、ドルと名乗るコインが世界中に拡がったことで、
“本物のドル”と“なんちゃってドル”が混在するようになった。
それって、アメリカにとっては通貨支配力が弱まるっていうリスクなんだよね。
そこで、
「ステーブルコインも、ちゃんと国のルールに従わせよう」
「従えないやつはアメリカでは使わせない」
っていう動きが加速してるわけ。
その流れに“完璧に乗ってる”のがUSD1ってわけ。
まとめ|GENIUS法案=USD1のための法律?
- GENIUS法案は、内容的にUSD1を念頭に作られた可能性が高い
- トランプ陣営とUSD1・TruMintの関係性が強い
- 他のステーブルコイン(USDT・USDC)はむしろ不利に
- 規制を盾にした「ドル支配の再構築」が始まってる?
この構図を見ると、“規制による市場の乗っ取り”って言ってもいいかもしれない。
仮想通貨って、もともとは自由な通貨だったはずなんだけど、
ついに国家と政治が本気で「取り戻しにきた」ってことなのかもしれないね。
3章|業界・政治家の反応|賛成派と反対派の主張
GENIUS法案って、いかにも「国民の安全のために必要な規制です」みたいな顔してるけど、
実際には、業界も政治家もけっこうバッサリ意見が割れてるんだよね。
表向きには「ステーブルコインを安全に」っていう目的だけど、
中身を見ると「政治と利権のぶつかり合い」が透けて見えるような構図になってる。
暗号資産業界の反応|USDCとCoinbaseは猛反発
この法案に対して、まず最初に強く反応したのがUSDCの発行元・Circleと、パートナーであるCoinbaseだった。
Circleの主張:
「アメリカは、透明で信頼あるステーブルコインを育ててきた。
今さら“特定の企業だけを優遇する”ような規制をするのは逆行だ」
とかなり強めのトーンで抗議している。
特に、USD1だけが“完璧に適合してる”点については、「まるで出来レース」と疑問を呈していた。
Coinbaseのスタンス:
Coinbaseは、米国で最も大きな取引所のひとつとして「市場の公正性」を主張。
この法案が「一部の事業者にのみ門戸を開くような内容」だとして、強い懸念を表明してる。
ちなみに、CoinbaseはCircleの戦略パートナーでもあるから、
“USDC陣営”としてまとまって反対している構図になってるんだよね。
ただしこの反応は、「規制そのもの」への反対ではなく、
“特定プレイヤーだけに有利な構成”になっている点への反発だった点は見落とせない。
支持する側|共和党・トランプ政権に近い議員たち
一方で、この法案を強力に後押ししているのは共和党議員たち。
提出者であるTom Emmer(トム・エマー)議員を筆頭に、
「国家安全保障」「ドルの信認維持」を掲げて、かなり積極的に推進してる。
彼らの主張はざっくり言うと:
- ステーブルコインは経済基盤の一部になってきている
- 信頼性のない発行体を野放しにしてはいけない
- 「真にドルに裏付けされた通貨」を守る必要がある
そしてその「真に信頼できる」例として、ちゃっかりUSD1を推してるのがポイント。
ちなみにこのEmmer議員、過去にトランプ大統領の選挙キャンペーンに関わってた経歴もあり、
政権との距離感は近め。
つまり、政権とUSD1、そしてこの法案を推す政治家は見事に一直線につながっているわけ。
民主党やリベラル系はどう見てる?
民主党側からは、「これはあからさまな規制による市場操作だ」という声が上がってる。
とくに問題視されているのが:
- USD1に有利すぎる内容(他を排除しているように見える)
- 規制案の提出過程が不透明(ロビー活動との関係が指摘)
- 暗号資産業界の多様性を損なう可能性
一部の民主党議員からは、
「これじゃあ、国家が“勝者”を決める市場になってしまう」
という批判も出ていた。
メディアの論調も二極化
・保守系メディア(Foxなど)は、「ドルの信頼を守る重要な一歩」と好意的
・リベラル系メディア(Axios、Politicoなど)は、「政権と企業の癒着構造」として問題視
特にAxiosやPoliticoでは、TruMintがこの法案の草案づくりに関与していた可能性について報道していて、
いわば「民間企業が自分に有利なルールを作ったのでは?」という疑惑が高まってる。
賛成と反対の構図まとめ
スタンス | 主な登場人物・団体 | 主張のポイント |
---|---|---|
賛成派 | トランプ政権、共和党議員、TruMint、USD1 | 安全なステーブルコインを保護、ドルの信頼を維持 |
反対派 | Circle(USDC)、Coinbase、民主党議員、一部取引所 | 特定企業の優遇、透明性欠如、市場の公正性が損なわれる |
まとめ|この法案、業界の未来を決める分かれ道かも
GENIUS法案は、表向きは「規制の強化」だけど、
裏では「どのステーブルコインを生き残らせるか」っていう国家の選別装置みたいな役割も担ってる。
しかもそれが、政権や特定企業とつながってるとなると、
業界全体が「公正な競争環境じゃなくなる」リスクすらある。
規制は必要。でも、「誰のための規制か?」って視点は、今後もっと問われてくるかもしれない。
4章|なぜ今ステーブルコイン規制が動いたのか?
GENIUS法案って、「急に出てきたように見える」かもしれないけど、
実はかなり前から水面下で準備されてた可能性が高いんだよね。
しかも、ただの国内ルールって話じゃなくて、ドルの未来を左右するくらいの意味が込められてる。
ここでは、「なぜ“今”この法案なのか?」っていうタイミングの背景を掘っていくよ。
背景①:世界的にステーブルコイン規制が加速中
まず押さえておきたいのは、世界中で「ステーブルコインをどう扱うか」って議論が一気に進んでるってこと。
特にヨーロッパでは、2024年にMiCA(Markets in Crypto-Assets)規制がスタート。
これによって、EU域内で発行されるステーブルコインは、明確なルールとライセンスのもとで運営される必要があるようになった。
つまり、海外ではすでに「ステーブルコインは管理すべき金融インフラ」って認識が広まってきてる。
アメリカもそれに追いつこうとしてるわけで、
GENIUS法案は「出遅れたアメリカの巻き返し」とも言える動きなんだ。
背景②:ドルの“支配力”を守りたいという本音
もうひとつ大きな理由が、ドルの覇権を守るという戦略的な目的。
USDT(テザー)やUSDCのような民間ステーブルコインが広まりすぎると、
「ドル=アメリカがコントロールしている」という関係が揺らぐんだよね。
たとえば、Tether社って香港に拠点があって、運営も不透明って言われがち。
もしUSDTが世界で一番使われるドルになってしまったら、アメリカ政府の手が届かない“ドルもどき”が国際経済を動かすことになる。
それって、アメリカにとってはめちゃくちゃ怖いこと。
だからこそ「国家の管理下にある“正しいドル”だけを使わせたい」っていう動きが強くなってる。
GENIUS法案がその流れを後押ししてるってわけ。
背景③:アメリカ国内でも“自国発のドル型ステーブル”を整備したい
TruMintやUSD1のような、政府と近い企業が発行するドル型ステーブルコインを推してるのもその一環。
GENIUS法案の基準に「ぴったり適合」してるのがほぼUSD1だけってことからも、
この法案が「ドルを守るための国家戦略」に近いってことがわかる。
つまり、民間が好き勝手にドル型通貨を発行する時代は終わって、
“公認ステーブル”だけが生き残る方向に、世界のルールがシフトしてるってことなんだよね。
背景④:CBDC(中央銀行デジタル通貨)とのすみ分けも意識?
面白いのは、GENIUS法案って「CBDCを推進する」とはまったく言ってないこと。
むしろ、「民間のドル型ステーブルを明確に認可していく」っていうスタンスだから、
これはCBDCに代わる“準デジタルドル”の土台を作ろうとしてる可能性もある。
たとえば:
- CBDCはプライバシーの懸念や監視社会的な不安がある
- 一方で、民間発行の公認ステーブルなら、自由さと信頼性のバランスが取れる
つまり、「国家がすべてを発行するよりも、信頼できる民間を利用したほうが早い」って判断も透けて見える。
背景⑤:2024年以降のビットコインETF・規制強化の流れとつながっている
実は、2024年にビットコイン現物ETFがアメリカで承認されたあたりから、
“暗号資産を正式な金融商品として扱う”ムードが一気に強まってきた。
この流れの中で、「ステーブルコインもちゃんと整備しなきゃね」って話が後押しされてる。
つまり、ETFで“表の金融商品”として暗号資産を扱うなら、
“裏で動く通貨(ステーブル)”も同じくらい厳密なルールが必要だってこと。
ETF→ステーブル規制→本格採用という、規制と整備の連鎖反応が始まってる。
まとめ|GENIUS法案は「ドルを守る」ための必然だった?
いまこの法案が出てきたのは、単なる「暗号資産のルール作り」って話じゃない。
むしろ、
- 世界の規制に出遅れたアメリカが巻き返しに出た
- 民間の無秩序なドル型コインを制限したい
- ドル覇権を維持するための“選別ルール”
として、国家戦略の一部として見たほうが自然かもしれない。
GENIUS法案って、名前はカッコいいけど、
実際には「どのドルを未来に残すか」という壮大なテーマが背後にあるんだよね。
5章|GENIUS法案は通るのか?今後の見通し
ここまで読んでくれた人は、「で、実際この法案って通るの?」って気になってると思う。
結論から言うと――
まだ確定ではないけど、通る可能性はかなり高め。
理由はいくつかあるから、順番に整理していくよ。
トランプ政権は「ステーブルコイン推進派」
まず大前提として、今のアメリカは“トランプ政権”なんだよね。
そしてそのトランプ陣営は、表向きには「暗号資産も米ドル建てステーブルも、どんどん活用していこう」って立場をとってる。
実際、GENIUS法案を推進している共和党議員たちは、
トランプに近いCircle元幹部やTruMint(USD1発行企業)との関係もあるとされていて、
“ステーブルコインによる金融イノベーション”を後押ししてる。
つまり、この法案は政権サイドにとって都合が良いルールってこと。
現在は下院へ送付済み、審議が焦点に
上院を通過したGENIUS法案は、現在は下院(House of Representatives)に送られている。
ただし下院側では、すでに別のステーブルコイン関連法案「STABLE Act」も審議されていて、
GENIUS法案がそのまま通るかどうかはまだわからない。
今後のシナリオとしては:
- ① GENIUS法案がそのまま可決される
- ② 下院主導で内容が修正される(特定の企業優遇を是正)
- ③ STABLE法案と統合される形で別の法案に変わる
…といった展開が考えられている。
問題は「誰のためのルールか?」という疑念
ただし、GENIUS法案には一部の企業を優遇しているのでは?という懸念もある。
たとえば:
- USD1を発行するTruMintだけが、要件をほぼ完璧に満たしている
- CircleやTetherは、「事実上排除された」状態に近い
- Prometheumのような“政府寄り”企業がSEC登録済みで有利に立っている
こうした構図をめぐって、民主党や一部の業界団体が反対にまわる可能性もある。
もしもこの疑念が拡大すれば、法案が“骨抜き”になったり、通過が遅れる展開もありえる。
業界は「慎重支持」か「条件付きで反対」
暗号資産業界の中では、
- 一部は「規制が明確になるのは歓迎」として支持寄り
- 一方で、「自由な競争を阻害する」「USDC潰しか?」として懐疑的な声も強い
というように、反応は真っ二つに分かれてる。
CoinbaseのCEOは「健全なステーブル市場を作る動きは必要」と前向きに語る一方で、
CircleやTetherからは「不公平」「急ぎすぎ」という不満も出てる。
つまり、業界も割れてるし、調整が必要ってこと。
可決されるなら「2025年後半〜2026年初め」が濃厚?
議会の審議スケジュールを見ても、
今すぐ通るってことはない。
でも、
- 上院ではスムーズに進行中
- 下院でも共和党優位
- トランプ政権の意向が強く反映されている
という流れから見て、2025年末〜2026年の早い時期には可決される可能性が高いと予想されてる。
特に大統領選の後半戦で暗号資産が争点になれば、
「GENIUS法案=トランプ政権のデジタルドル戦略」として、一気に注目されることになるはず。
まとめ|GENIUS法案は“ドルを選別する法案”として通るのか?
GENIUS法案は、ただのステーブルコインルールじゃない。
実質的には、「どのドルを国家として認めるか」を選び取るルールなんだ。
- 政権は推進モード
- 与党議員の間でも支持が広がってる
- 対抗する勢力もまだ“明確な反論”までは出ていない
こうした状況をふまえると、この法案は“通るべくして通る”流れに入っていると言える。
ただし、その過程でどれだけ中身が修正されるか、
本当に公正なルールになるのか――そこがこれからの注目ポイントだね。
6章|この法案で仮想通貨はどうなる?投資家目線での影響
GENIUS法案って、けっきょく「規制の話」でしょ?
って思ったかもしれない。でも、実はこれ、僕たち投資家にもけっこう直結するテーマなんだよね。
ここでは、ステーブルコインを日々使ってる人や、ビットコインなどの暗号資産を保有してる人にとって、
この法案がどんな意味を持つのか?ざっくり見ていこう。
ステーブルコインの「安心感」が変わる
GENIUS法案の最大のポイントは、規制が明確になることで“安全なステーブルコイン”が絞られること。
例えば:
- Circle(USDC)は、登録制のもとで運用継続がしやすくなる見通し
- Tether(USDT)は、透明性や登録要件の面で適合が難しい可能性
- USD1(TruMint)は、現行ルールにフル準拠した“お墨付き”のステーブルコインになりそう
つまり、今後は「どのステーブルコインなら使っても安心か?」が明確になる時代に入る。
これまではUSDTもUSDCも“なんとなく同じように流通してた”けど、GENIUS法案が通れば、
規制クリア済のステーブルコインだけが「金融機関や大口から選ばれる存在」になる。
海外取引所に置いたUSDTはリスクになる?
法案が施行されると、米国の金融機関や証券会社は「GENIUS法に準拠したステーブルコインしか扱えない」状態になる。
これはつまり:
- BinanceやBybitなどに置いたUSDT → 米国内の金融機関とのやり取りに使えない可能性
- MetaMaskで管理してたUSDT → ブリッジや送金が制限されるリスク
もちろん、個人利用が即違法になるわけじゃないけど、
「市場での信用」とか「取引先との互換性」がガクッと落ちる可能性はある。
投資家にとっての実用面:使える・使えないの分岐が来る
たとえば:
- 米株をステーブルコイン経由で買ってた人は「どのコインなら使えるか」に注意
- 海外DeFiにUSDTで突っ込んでる人は「出金経路が狭まる」リスクあり
- NFTやWeb3決済で使ってた人も、決済先が「USD1限定」とかになるかも
つまり、投資スタイルそのものを見直す必要が出てくる可能性がある。
ビットコインとの関係は?長期的にはプラスも
この法案自体はステーブルコイン規制だけど、
「仮想通貨市場に一定のルールが敷かれる」っていう意味では、長期的にはプラスに見られてる。
理由はシンプルで:
- 不透明なUSDTを規制することで、市場の健全化が進む
- 米国がルールを整備すれば、機関投資家も安心して参入しやすくなる
- ステーブルコインの信用が高まれば、BTCの取引にも安定性が生まれる
実際、Circle CEOや業界団体からも「市場に明るい影響を与える」と前向きな声が出てる 。
ただし短期的には「混乱の予兆」も?
一方で、法案が施行された直後には、市場の入れ替わりが起こる可能性もある。
- USDTのシェアが急激に下がる
- 一部のアルトコインが「対応通貨がなくなる」問題に直面
- 規制対象外の取引所が孤立する
たとえば、Tetherの発行元(BVI法人など)はGENIUS法に適合していないため、
規制強化で「米国から締め出される」展開も現実味を帯びてきた。
こうなると、流動性の低下や一時的なボラティリティの増加も考えられる。
僕らが今できる準備は?
- 自分が使ってるステーブルコインが、GENIUS法案に適合しそうか確認
- USDTメインだった人は、USDCやUSD1への分散を検討
- ステーブルコイン経由の投資(米株・NFTなど)に「今後使えなくなる可能性」を見ておく
そして何より、「ドル連動の信用」って、発行体の体力や規制に大きく左右されることを理解しておくべきだと思う。
まとめ|これは「ドルの本気」でもある
GENIUS法案の本質は、
“どのドルをドルとして認めるか”を、国家が公式に選ぶ時代が来たってこと。
- ただのコインじゃなく、「許可されたコイン」じゃないと生き残れない
- 投資家側も「規制対応」を前提に戦略を見直す必要がある
- BTC・ETHなどの主要銘柄にも、間接的に影響は及ぶ
これからの仮想通貨市場は、“無法のフロンティア”から“秩序ある経済圏”へとシフトしていく。
GENIUS法案は、その第一歩なのかもしれないね。
7章|GENIUS法案をめぐる賛否と“裏の構図”
GENIUS法案って、名前こそポジティブだけど、全員が手放しで歓迎してるわけじゃないんだよね。
この章では、「なぜ賛成派と反対派が分かれているのか」、
そしてその裏で動いている政治的な構図やロビー活動まで見ていこう。
支持する側:Circle・米国系VC・共和党中枢
GENIUS法案をめぐって、“全面的に支持している”と見られているのが、ステーブルコインUSDCを発行するCircle(サークル社)だ。
彼らは以前から、「連邦レベルでの明確なステーブルコイン規制」を一貫して求めてきた。
この法案によってUSDCモデルが正当化されれば、金融業界での地位が一層強化されるという期待もある。
実際、Circleは
- 元財務省・SEC出身者を複数採用し、ワシントンとの距離を縮めてきた
- トランプ陣営の金融チームとも接触し、共和党側との連携を強めている
- ロビー活動にも積極的で、法案の形成プロセスにも一定の影響力を及ぼしてきた
しかし一方で、草案公開時に「USD1だけが完璧に適合している」とされた点には懸念を示しており、
「法案の骨格は歓迎、でも内容には修正が必要」という立場で、慎重に発言しているのが実情だ。
つまりCircleは、“規制整備”そのものには前向きだけど、特定企業の優遇や公正性を欠いた内容には明確なNOを出している。
この微妙なバランスが、業界内外で誤解を生んでいるポイントでもあるんだ。
また、Circleは元財務省関係者を多く採用していて、ワシントンとの政治的な距離がめちゃくちゃ近い。
2024年末からトランプ陣営とも接点を強めていて、共和党とのパイプはかなり太い。
支持してるのは他にも
- 米系ベンチャーキャピタル(a16zなど)
- トランプ政権の金融政策チーム
- 銀行業界(特に米国の保守系銀行)
「規制の明確化で市場を健全化したい」という建前と、
「Circleに独占させたい」という本音が、うまく混ざり合って支持が広がってる構図なんだ。
反対する側:Tether・Binance・一部民主党議員
一方、GENIUS法案に懐疑的な視線を送っているのが、USDT(テザー)やBinanceなどの“非米系プレイヤー”。
彼らが反対する理由はシンプル:
- 自分たちが対象から外される(事業継続が難しくなる)
- 米国主導でルールが固まると、グローバル展開に制限が出る
- 規制対応のコストがかかりすぎる
USDTを発行するTether社は、すでに「GENIUS法案は一社(Circle)のための法案だ」と批判していて、
“政治に牛耳られたルール”への強い警戒感を示してる。
また、民主党の進歩派(Progressive Caucus)も、一部がこの法案に慎重な姿勢を取っていて、
「ステーブルコインによる金融包摂の可能性が損なわれる」といった声もあがっている。
賛否の本質は「米国主導のステーブル覇権」争い
ここで大事なのは、「GENIUS法案=良い/悪い」っていう単純な話じゃないってこと。
本質的には:
- 米国(=Circle、USDC)が、「世界標準のドルステーブルコイン」を取りに来ている
- それに対して、TetherやBinanceは「規制で潰される」リスクを感じている
つまり、これは“ドルを巡る国際主導権争い”の一環なんだよね。
裏にあるロビー活動と資金の流れ
2024年〜2025年にかけて、Circleはかなり積極的にロビー活動を展開している。
- 米国議会へのロビー支出は1年間で200万ドル以上(SEC、財務省、CFTCに働きかけ)
- 元上院議員や政権経験者を顧問に採用
- トランプ大統領とも直接接触があり、「フィンテック支援の旗印」としてアピール
一方で、TetherやBinanceは政治的な後ろ盾がほぼなく、
「影響力で劣るプレイヤーが不利になる構図」が浮き彫りになっている。
議会の中でも意見が割れている
議会全体で見ると:
- 上院では共和党+一部民主党が賛成にまわった(すでに通過済み)
- 下院ではSTABLE法案を支持する層(やや民主党寄り)とのせめぎ合いが続いている
もしGENIUS法案がそのまま下院を通過すれば、
米国におけるステーブルコインは“Circleほぼ一強体制”になる可能性がある。
だからこそ、今後のロビー合戦や、民主党内の意見の調整がカギになってくるんだ。
まとめ|これは“規制”という名のゲームチェンジ
GENIUS法案の賛否って、表面上は「安全性の担保」とか「透明性の確保」っていう話だけど、
裏側では、「誰がルールを作るか」「誰が覇権を取るか」っていう、かなり政治的な構図が動いてる。
- 支持側は「ルールを制した者が市場を制す」と見てる
- 反対側は「既得権益と国家権力の癒着」を懸念してる
- 僕ら投資家は、その狭間で「何が使えるのか」を冷静に見極めるしかない
8章|ステーブルコイン戦争の行方と世界への波及
GENIUS法案は、表向きは“国内のステーブルコインを整理する”だけの話に見えるかもしれない。
でも実際には、世界中の暗号資産市場に影響を及ぼすレベルの「通貨戦争」なんだよね。
というのも、今のステーブルコインって“ドルを裏側に持ってる仮想通貨”だから、
ドルそのものの影響力を世界に広げるための道具にもなってる。
ドルの勢力争いが、仮想通貨市場で起きている
ちょっと視点を広げてみると、こんな構図が見えてくる
陣営 | コイン | 背景 | 目的 |
---|---|---|---|
🇺🇸 トランプ・共和党系 | USD1 | GENIUS法案の適合候補。政治とのつながりが濃い | 米国内での“公認ステーブル”に育てたい |
🇺🇸 民間主流派 | USDC | CircleとCoinbase連合。国際的な金融網とつながりが深い | グローバル基準として生き残りたい |
🇭🇰 国際匿名資本 | USDT | Tether社(香港)。最大シェア。規制には非協力的 | 自由な流動性と匿名性を守りたい |
これ、ただのステーブルコインの競争じゃない。
もっと大きく見れば「どのタイプの“ドル”を世界に広めるか」という争いでもある。
GENIUS法案は、そんな“ドルをめぐる覇権競争”に、米国政府がガチで乗り出してきたという意味を持っている。
「USDTの排除」は本当に起こるのか?
多くの人が気になっているのがこれだと思う。
USDT(テザー)は、世界中の取引所で使われていて、
特に新興国の個人や小規模取引所にとっては欠かせない存在になってる。
でもアメリカ政府から見たら、「どこの誰が担保してるかよくわからない」「規制に協力的じゃない」ってことで、
「影響力が大きすぎる民間ドル」みたいな立ち位置になってる。
GENIUS法案の文脈では、今のところUSDTは名前すら出てこない。
これは意図的に“蚊帳の外”に置いてるという見方もあるんだ。
つまり、今後こんな展開もありえる
- USDTの使用がアメリカ国内で制限される
- CEX(中央集権型取引所)でのUSDT建てペアが減っていく
- ドル建てのDeFiも「GENIUS適合ステーブル限定」に再編されていく
これって、投資家にとっては地味に怖い話でもあるよね。
「USDT建ての資産が動かしにくくなる」とか、「海外口座が使いづらくなる」とか。
日本やEUはどう動く?“アメリカ基準”が世界標準に?
GENIUS法案の怖いところは、「これが“世界標準”になる可能性」があること。
仮想通貨ってどこでも使える自由なものだけど、
実際のところは「アメリカがOKを出したかどうか」がすごく重要なんだ。
例えば
- 日本の取引所が、GENIUS法案に適合してないステーブルを敬遠し始める
- EUが、アメリカと歩調を合わせる形で似た規制をつくる
- 各国の中央銀行が「民間ステーブルよりCBDC(中銀デジタル通貨)にしよう」と動き出す
GENIUS法案は、そんな“法規制ドミノ”の最初の一手になる可能性もある。
「安全に使えるステーブル」が限られていく未来
最終的に、GENIUS法案が可決されて数年経ったら──
- 「USDCとUSD1は安心」
- 「USDTは取引所によって扱いに差がある」
- 「マイナーなステーブルは使われなくなった」
こんな状況になっているかもしれない。
つまり、投資家が安心して使えるステーブルの選択肢が絞られていくんだ。
今は「どのステーブルでもいいじゃん」って感じかもしれないけど、
未来は「どれを使ってるか」で使える取引所も、買えるコインも、利回りも変わるってことになりそう。
じゃあ今、なにを考えておくべき?
この流れに乗って「投資環境がクリーンになっていく」とポジティブに見ることもできる。
でもその分、これからは“規制対応”も含めてステーブルコインを選ぶ時代になる。
- 投資用の“待機資金”は、信頼性のあるステーブルで管理する
- 長期保有ならBTCやETHなど「規制に強い銘柄」で構成しておく
- ステーブル系のDeFi運用は、裏に何の通貨があるかをよく確認する
──このあたりが、GENIUS法案時代の基礎戦略になっていくかもしれない。
まとめ|GENIUS法案で何が変わる?投資家が今考えておきたいこと
2025年に提出され、いま注目を集めているGENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)。
これは単なる“ステーブルコインのルール作り”を超えて、仮想通貨の未来を大きく左右するターニングポイントになるかもしれません。
投資家にとって何が変わる?
GENIUS法案が通過すれば、以下のような大きな変化が起こる可能性があります:
- 「信頼あるステーブルコイン」としてUSD1のような“認定銘柄”が登場する
- USDTやUSDCなど、既存の主要ステーブルにとっては競争環境が激変する
- DeFiやCEXのステーブル対応も「GENIUS準拠」が前提になるかもしれない
- アメリカ発の規制が“世界標準”になることで、日本を含めた各国にも波及
つまり、「どのステーブルコインを選ぶか」が、これまで以上に重要になってくるんです。
トランプ政権の意図は?
トランプ政権が推すこの法案には、「アメリカ発で“安全なドル”を世界に広めたい」という意図が透けて見えます。
裏を返せば、既存のUSDTやUSDCに対する“静かな排除”でもあります。
金融を“国家の武器”として使ってきたアメリカらしい戦略ですが、
それが仮想通貨市場にも本格的に入り込んできた、という印象です。
結局、どう動けばいいの?
じゃあ、個人投資家としては何をすればいいのか。
- ステーブルコインを“なんとなく選ばない”
→ 発行元・担保構造・法規制への対応状況を見よう - BTC・ETHのような“規制に強い資産”も併せて持つ
→ 法改正があっても生き残る可能性が高い - GENIUS法案の進展は定期的にチェック
→ 下院通過・施行タイミングで相場に動きが出る可能性あり
そして──「ドルの時代の次」を考えるきっかけに
最後に少しだけ思うのは、
GENIUS法案って「ドルの延命策」にも見えるってこと。
アメリカはこれからも、自国の強みを維持するために“新しいドルの形”を模索していく。
その最前線が、いま僕らが使っている仮想通貨の中にあるんですよね。
「ビットコインが本当に世界通貨になるのか」
「ドルに代わる価値の保存手段って何なのか」
「自分の資産をどこに置くべきか」
GENIUS法案は、そんな問いを投げかけてきてる気がします。
というわけで、今回は米国発のステーブルコイン規制「GENIUS法案」について、
投資家視点で深掘りしてみました。
変化の波が来る前に、“自分の立ち位置”を見直すきっかけになればうれしいです。
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