はじめに|金の代わりにビットコイン?そんな話あるの?
「ビットコインって、国家の金庫に入るような資産なの?」
──最初にこの話を聞いたとき、僕は正直「さすがにそれは言いすぎでしょ」と思ってた。
でも最近は違う。
エルサルバドルやアメリカのいくつかの州が、実際にビットコインを“備蓄”として保有し始めている。
ニュースでは「デジタルゴールド」という言葉もよく見かけるようになった。
それってつまり、「これまで金が担っていた役割に、ビットコインが少しずつ入り込んでる」ってことなんじゃないか?
この記事では、
- なぜゴールドが長年、国家備蓄の“王者”だったのか
- ビットコインがその地位を狙えるだけの資産なのか
- 2030年、備蓄として“どちらが選ばれているのか”?
を、できるだけやさしく、リアルに、初心者にもわかる言葉で整理してみた。
国が何を信じて「備える」のか──
その視点でビットコインを見ると、いままでとは違った価値が見えてくるはず。
「そもそも、なんで国家がビットコインを備蓄するのか?」
って疑問がある人には、こちらの記事が参考になるかも
▶ アメリカがビットコインを“国家備蓄”にする理由|戦略的ビットコイン準備金とは?他国の動きも解説
ちなみに、ビットコインってなんで「デジタルゴールド」って呼ばれるのか、ちゃんと知ってる?
僕はそこが腑に落ちてから、投資の考え方が変わった。
▶ ビットコインってなんで「金」に例えられるの?初心者でもわかる「デジタルゴールド」の意味と本質
中央銀行の金保有データから見る「信頼の実績」
じゃあ実際に、世界の国々はどれくらい金を持ってるの?というと、けっこう驚くかもしれない。
国際通貨基金(IMF)や世界黄金協会(WGC)が公開しているデータによると、2024年時点での金保有トップ国はこんな感じ:
国名 | 保有量(トン) | 備考 |
---|---|---|
🇺🇸 アメリカ | 約8,133トン | 世界一。第二次世界大戦以降も圧倒的 |
🇩🇪 ドイツ | 約3,352トン | ユーロ圏最大の保有国 |
🇮🇹 イタリア | 約2,452トン | 財政不安の中でも金は手放さず |
🇫🇷 フランス | 約2,437トン | EU圏での備蓄安定化に貢献 |
🇯🇵 日本 | 約846トン | G7の中では比較的少なめ |
この金の保有量、実は「なぜこの国が強いのか」という裏付けにもなってる。
ドルが基軸通貨として信頼されている背景には、こういった金の備蓄体制もあるんだ。
増え続ける金の購入量
さらに2020年代に入ってから、中央銀行による金の購入量は加速してる。
たとえば2022年には、過去50年で最大の金購入量(約1,100トン超)を記録。
これって、「現金(法定通貨)じゃ守れない」と感じてる国が増えてきてる証拠でもある。
「現金の信用が揺らいでるから、金に戻ろう」という国家の本音が見えてくるよね。
中央銀行がビットコインを保有しない理由とは?|“金の壁”は崩れるか?
ここまで読んで「じゃあ中央銀行はなんでビットコインを持たないの?」と感じた人も多いと思う。
その理由はいくつかあるけど、代表的なものを挙げるとこんな感じ。
① ボラティリティが高すぎる
中央銀行の仕事は「経済の安定」を守ること。
でも、ビットコインは価格の上下が激しすぎて、準備金としてはまだ不安定。
日によって何十万円も価格が動く資産を“価値の裏付け”として持つのは、今の制度上かなりハードルが高い。
② 世界的な規制・評価がまだ分かれている
国によっては仮想通貨を禁止しているところもあって、「国際的に統一された位置づけ」がまだ曖昧。
金のようにどこでも認められる資産とは言い難く、中央銀行が公的に保有するには時期尚早と考えられている。
③ 技術的・運用的な課題
ビットコインの保管には、秘密鍵やセキュリティ、マルチシグなどの高度な管理が必要。
中央銀行という超保守的な組織にとって、こうした“新しい管理方式”に対応するのは簡単じゃない。
④ 政治・通貨主権の観点からリスクがある
ビットコインは非中央集権で、誰にもコントロールされない。
これは魅力でもあるけど、国家にとっては「コントロールできない」という意味でもある。
つまり「自国通貨の信頼性を損ねる可能性がある」と考える国もあるわけ。
これに加えて、“もしビットコインが基軸資産になったら”という未来に対して不安を抱く政府もある。
中央銀行がビットコインを保有し始めれば、それは「今の金融システムに対する信頼を揺るがす動き」とも見なされかねない。
そう考えると、中央銀行がBTCを保有するのは、技術面や制度の整備だけでなく、「政治的なタイミング」が必要になるとも言えるね。
補足:実は一部の政府関係機関では保有の噂も…?
まだ“公式発表”ではないけど、例えばウクライナの政府支援団体が戦時中にビットコインで資金調達を行った例や、
一部の国で政府系ファンドが間接的にBTCを運用しているという話もある。
つまり、“表には出ていないけど保有している”というケースが今後増えていく可能性もある。
現時点では「中央銀行の金 vs 民間のビットコイン」という構図だけど、10年後には状況が変わっているかもしれない。
民間セクターのBTC保有動向|信頼資産になりつつある現実
じゃあ一方で、ビットコインはどうなの?って話になるよね。
中央銀行が直接BTCを保有してる例はまだ少ないけど、民間セクターではかなり動きがある。
たとえば:
マイクロストラテジー(MicroStrategy)
- 上場企業としては最大級のBTC保有企業
- 2025年時点で20万BTC以上を保有
- 創業者サイラー氏が「デジタル金庫」と表現
テスラ(Tesla)
- 2021年にBTCを購入し、決済手段としても一時採用
- 現在は一部売却済みだが、話題性と影響力は大きかった
ブラックロック(BlackRock)
- 世界最大の資産運用会社
- BTC現物ETF(IBIT)をローンチし、機関投資家の受け皿に
各国のETF保有
- アメリカだけでなく、カナダ・ブラジルなどもBTC現物ETFを展開中
- ETFを通じて、間接的に国家・機関がBTCを保有する仕組みができつつある
つまり、「国家=金」「民間=BTC」として少しずつ役割が分かれてきてるイメージ。
しかもETFを通じたBTC保有は、“合法で安全に長期保有できる道”として広がりつつある。
これは、かつての金本位制が徐々に法定通貨へと移行したのと、どこか似ている構造かもしれない。
ビットコインを“備蓄”する国・州の最新動向
ビットコインを実際に“国家備蓄”として扱おうとする動きは、もう始まってる。
エルサルバドル(世界初の国家保有)
2021年、エルサルバドルは世界で初めてビットコインを法定通貨に採用し、同時に国家としての保有も開始。
以降も断続的にBTCを買い増しており、「国家レベルの備蓄」という言葉を現実にした最初の国となった。
大統領ブケレ氏の主導で、「毎日1BTC購入」政策など、長期保有を前提とした戦略を実行している。
アメリカの一部の州(州単位でのBTC備蓄)
連邦政府ではないものの、アメリカの“州レベル”でもBTC備蓄の動きが加速中。
2025年現在、注目すべき州は以下の3つ:
州名 | 内容 | 現状 |
---|---|---|
ニューハンプシャー州 | 州財務でBTCに最大5%投資可 | 可決・施行済み(2025年5月) |
アリゾナ州 | 未請求財産の一部をBTC等で再投資 | 可決・署名済み(2025年5月) |
テキサス州 | 準備金の一部にBTCを組み入れ | 下院可決・上院審議中 |
特にテキサス州は「マイニングの聖地」としても知られており、州のエネルギー政策とビットコインの親和性が強く、準備金としての採用も現実味を帯びてきている。
これらの州は、国家レベルでの備蓄に先駆けて「リスク分散」「インフレ対策」の観点からBTCを保有しようとしている。
つまり、今の時点で「金 vs ビットコイン」の流れが、中央(国家)→地方(州)→個人という三層構造で動き出しているのが現実なんだ。
実はアメリカの州単位でも、ビットコインを備蓄しようって動きが出てる。
特にテキサス州の法案は要チェック。詳しくはこちらでまとめてます
▶ 【注目】テキサス州がビットコインを準備金に?法案の狙いと世界への影響を解説
ゴールド vs ビットコイン|7つの観点で徹底比較
ビットコインは本当に「金の代替」になれるのか?
ここでは、国家備蓄という観点から、2つの資産を7つのポイントで比較してみよう。

① 希少性と供給構造
- 金:地球上に埋蔵量が限られており、年々採掘が難しくなる
- BTC:発行上限2100万枚。マイニング報酬は半減期ごとに減少
→ どちらも「増えにくい」という意味で強いが、BTCは完全に“数量が固定”されている点で上回る。
② 保管・輸送のしやすさ
- 金:物理的に重く、盗難や運搬リスクもある
- BTC:インターネットがあればどこでも送れる。自己管理も可能
→ 小回りと迅速さではBTCに軍配。ただし管理ミス(セルフゴックス)には注意が必要。
③ ボラティリティと価格の安定性
- 金:価格変動はあるが比較的安定している
- BTC:まだ価格変動が大きく、短期的には不安定
→ 「安定資産」としての信頼性では金が上。
④ 長期的な価値保存力
- 金:数千年の歴史。信頼性が非常に高い
- BTC:15年程度の歴史。右肩上がりだが実績は少ない
→ 歴史の長さでは金。ただし、若い分だけ成長余地はBTCに分がある。
⑤ 国家・企業による保有状況と流動性
- 金:各国中央銀行が大量保有。マーケットも成熟
- BTC:ETFや一部の企業・州政府で保有が増えてきた段階
→ まだまだBTCは「発展途上」だが、勢いはある。
⑥ 災害・戦争時の強さ(有事耐性)
- 金:現物で持てばネットがなくても使える
- BTC:ネットインフラが止まるとアクセス不能になる可能性
→ 極限状況では金の方が有利。ただし普段はBTCの方が扱いやすい。
⑦ 将来の需要・応用性(金融商品との親和性)
- 金:ETFや純金積立など、既存の仕組みはあるが変化は少ない
- BTC:ETF、スマートコントラクト、トークン証券など応用が進む
→ 将来性・革新性ではBTCが強い。
僕の考察|金の時代から“並存”の時代へ
結論から言うと、僕は「ビットコインが金に取って代わる」とは思ってない。 でも、「金と並んで備えるべき時代」にはもう入ってると思ってる。
実際、国家や州がビットコインを保有し始めてるのは、“通貨の信頼性”に対する不安が広がっている証拠でもある。
ドルや円、ユーロ…どんな通貨にもインフレや財政赤字のリスクがある。 そんな中で、「ビットコイン」という選択肢があるのは、未来にとってポジティブなことだと感じてる。
国家が金とBTCを“両方持つ”ように、僕たち個人も“両方を少しずつ”持つことが、これからの備えになるんじゃないかな。
2030年にはどっちが勝ってる?未来予測シナリオ
「結局、どっちが勝つの?」って聞かれたら、僕はこう答える。
「勝つ」というより、「共存する」未来が一番リアル。
とはいえ、いくつかのシナリオに分けて、2030年にどうなってるかを予想してみよう。
シナリオA:BTCが金を超える(強気)
- 世界中の国家や企業がBTCを備蓄
- 金よりも流動性が高く、スマートマネーとして定着
- 金の市場規模をBTCが追い越し、1BTC=1000万円〜1億円へ
シナリオB:BTCと金が並列(中立)
- 国家は金、民間や一部の州がBTC
- 投資資産として両方使われる時代
- BTCは1BTC=1000万〜3000万円で安定
シナリオC:やっぱり金が強い(弱気)
- 規制強化やハッキング、ETF崩壊でBTCに対する不信感が拡大
- 国家は金に回帰。BTCは一部マニア層の資産に戻る
- 価格は300万円以下で安定
「じゃあ2030年にはいくらになるの?」って思った人は、こっちの記事も読んでみて。
▶ 【2025年最新】ビットコイン2030年価格予想|強気・中立・弱気の3シナリオで徹底考察
ビットコインを“備蓄”したい人向けの3つのポイント
もしこの記事を読んで「ビットコインもちょっと備えてみようかな」と思った人向けに、 最低限これだけは押さえておきたいポイントを3つ紹介しておくよ。
1. 少額から積立を始める(コインチェックなど)
「いきなり大金を突っ込む」のはNG。 月1万円でもいいから、コツコツ積み立てるのがベスト。 コインチェックなら毎日積立もできて、初心者でも始めやすいよ。
口座開設したい方はこちら
▶ 【初心者向け】コインチェックの始め方|口座開設から購入までやさしく解説
2. ハードウェアウォレットで自己保管
備蓄=長期保有が前提。 そのためには取引所に置きっぱなしは危険。 LedgerやSafePalなどのハードウェアウォレットで、安全に保管しよう。
ビットコインを本気で持ち続けるなら、セキュリティも大事。
「ハードウェアウォレットって何?」って人は、これを読んでみて
▶ 仮想通貨を守るカギ「ハードウェアウォレット」って何?
「じゃあ、どのウォレット買えばいいの?」って思った人向けに、実際に使ってレビューしてみたよ。
▶【2025年版】初心者におすすめ!Amazonで買えるハードウェアウォレット5選【実機レビュー付き】
3. 金との“分散保有”も検討
「BTCだけ」じゃなく「金も少し持つ」ことでリスク分散になる。 純金積立や金ETFなど、少額で始められるものも多い。
備蓄とは、未来に備えて“価値”を逃がしておく行動。
どっちが正解かはわからないけど、「何も持たないこと」が一番リスクかもしれない。
まとめ|これからの時代は“デジタルも実物も備える”が最強
ビットコインはまだ若い資産だけど、国家や州が「備蓄」として動き出しているのは、時代が変わり始めている証拠だと思う。
金は何千年も信頼されてきた資産。 ビットコインは、これからの“分散型の世界”に必要とされる資産。
どちらが上ではなく、どちらも備えておく時代。
僕はそう考えて、BTCも金も少しずつ積み立ててる。 未来がどう転んでも、自分の価値を守れるように。
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